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作家志望の発達障害/統合失調症者が展開する文章世界!

「卒業式まで死ななかった」高校中退生の「今」

 一九九八年頃。
 当時、ネット上で「面白いライターを探している」と話を持ち掛けられたら名が挙がる存在、それは南条あやさんと言うメンタルヘルス系の女子高生だった。
 皆さんは彼女と、その文章を御存知だろうか。
 その少し後に、私は地元の県立高校へと進学した。この学校がまた、溜息と愚痴を限り無く吐いても足りない場所で、私に言わせれば大いなる「バリヤバクソ高校」だ。あの様な学校を志願する人間と、それを実行してしまった過去の自分の思考体系が、今となっては全く持って理解出来ない。
 何故、私はこの学校を非難しているのか。
 自分がストレスの余りに、そこで統合失調症を発症したからだ。

 

発動は意味を喪失せり


 結末から書くと、私は病気も加わって無気力無関心状態に陥り、不登校の末に高校を中退した。出席日数が足りなくなり、留年措置発動についての話を教師が家に来て行う。遂には「他の生徒の悪い手本になるので、中退してくれ」と言う発言まで、彼等の口から飛び出した。
 しかし私は最早、悪い手本と言った次元の存在では無かったのだ。何せ、当時から手首には常にリストバンドか包帯が巻かれ、向精神薬を常備し、学校内で笑いながら壁に頭を打ち付けていたのが実際だったから。所謂、今で言うメンヘラ女と言うものだろう。
 果たして進学校のお坊ちゃんお嬢ちゃんに、この様相は真似が容易に出来るものなのか。それに対し、私は否と言いたい。
 自分と人生を早々に諦める気を持たなければ、出来ないだろう。

 

命落する

 

 しかし、当時の私は学内で成績のみに於いては評判の良い生徒だった。医学部進学は当たり前、東大も狙ってはとまでに言われる毎日。
 今、私が自己の回顧録を書き殴るとしたらこうする。

「意味も無く好成績と高偏差値を強要される中、真面目に過ごすのが大変に馬鹿らしくなり、何もかもを放棄する道へと走った高校在学時代。大人になっても、現在の身分は精神科作業員。もう失い続けるか、笑い飛ばすしか道は無くなってしまった。自分は何がいけないと言うのだ」

 しかもこれは高校中退後、大検を取って大学を学部首席にて卒業した結果。私の感じる喪失と無力を、誰かに分かって貰えないものだろうか。
    南条あやさん、彼女は「面白いライター」として名が挙がりながらも、『卒業式まで死にません 女子高生南条あやの日記』と言う著書しか遺していない。
 「残す」では無く「遺す」と書いたのには理由がある。彼女は、高校を卒業した直後に自殺したからだ。それこそ、自傷行為向精神薬の関係した事情にて。
 私は不登校寸前時代、高校の保健室でこの本を貪る程に読み耽った。そして南条さんの書いたリストカットの様子、薬を医師から処方させる施策、親子間の擦れ違いに大きく共感したのだ。彼女とこの本の存在を知る前からメンタルヘルスへと首を突っ込んでいた自分にとって、正しくこれらは神の啓示と同様だった。
 そして私は留年を告げられ、自殺目的で大量服薬を行い、病院へと緊急搬送され、高校の卒業を諦める。

 

カウンセリング&メンテナンスも失敗せり

 

 合格して入った大学にて、私はキリスト教に特化した学部に在籍した。しかし実を言えば、三位一体の神が告げる啓示は、自分にとって意味なり真実なりを全く持って感じさせなかったのだ。それよりは断然に、活きた現実に即する南条さんの遺した言葉が心に刺さったし、説得力にも溢れて感じた。
 直近の事として、ある友人はこう話している。

「“卒業式まで~”は内容が過激だけれども、南条さんは至極に真面な子だったと思う。ただ、周囲や環境の中で空回りを起こし過ぎてしまっただけでは」
「そして、似た境遇の人が、南条さんと同様の結果にならないかが心配だ」

 高校時代の私は、正しく南条さんを神として見ていた。しかも当時、既に彼女は亡くなっていたのだ。その事実も相まって、当時の自分は「今は存在しない存在」を崇拝する方向へと過熱したのでは。こう言った事を、友人の話を聞いていて回想した。
 もし南条さんが、私の辿っている人生を知ると、どう言った反応を取るだろうか。
 こればかりは自分に想像が出来ない。

 

すみませんがライターです


 二千十七年現在、私は「面白い」のかどうかは分からないが、作業所勤務の傍らでライター業を行っている。そして勿論の事として、生きているから、こう言った業務が出来ているのだ。
 大学のキリスト教は残念ながらも役に立たず、高校在籍の記憶はフラッシュバックと後悔のみを私に与えた。そして何れも、自分の現況には何の好機も与えていない。
 反面で、勉学とか、成績、学業よりも現実を教えるものが、確実に個々へとある。自分にとって、それは南条さんの生き方や文章だったと私は思う。
 「メンヘラは才能の塊」と言う格言を何処かで目にした。
 最悪人生と自称する中で、自分は今後、そうなりたい。

お題「読書感想文」