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作家志望の発達障害/統合失調症者が展開する文章世界!

「ピュー!と吹けばフラッシュバック」精神科病棟収容日誌(2)

収容第1日 2017/5/31


1


 収容された病棟の全患者数は、十二人。
 その中で私を含める三人が、通所していた就労支援事業所のメンバーとの事。つまり四分の一は事業所の絡んだ入院者だ、と言う現実。これは事業所長にとって由々しき事態では無いだろうか。

 

2


 現在、カーテンを隔てた私の向こうでは、その事業所で知り合った仲間が勉学に励んでいる。何でも彼女はそうして資格取得を目指しているらしい。それは大変に凄いと思うし、過去の自分の姿を重ね合わせて共感も出来る。
 彼女は以前、私へこう言っていた。
「私は資格を取って、事業所では無くてきちんと一般の職場で働きたい。だから勉強を頑張るのだ」
 実を言うと、私はその他にも同様の努力を行う仲間を知っている。彼は今頃、病院の入り口にある事業所の一つにて勤務に携わっているのだと思う。更にその人は、私が事業所にて在籍していた接客班の仲間だったので、私の考えは他の接客班のメンバーにも及んでしまう。
 恐らくは昨日か今日に、彼等へと私の入院が伝達されている筈だ。皆は如何なる反応を取ったのだろう。
「ああ、やっぱりそうなると思った」
「ええ!大和さんが!」
 想像は様々に可能だけれども、恐らくは全員が薄々に勘付いていた結末がやって来たと、個人的には思う。何故ならば、事業所の接客班内で私は大いなる問題人物だったからだ。


3

 複数の業務が並行して出来ないだけでも、既に接客には適性が無い。加えて自閉傾向のある私は、訊ねたい事も余程の気力を振り絞らないと他人へと訊ねられなかった。それ故に
「分かっているの!分からないの!」
と言う叱責を受け続け、余計に委縮したものだ。当方はと言うと、「分からない」とすら口に出す事すら躊躇われていた。
「分からないので、もう一度教えて貰えませんか」
それすらも言い出せない位に、他者を恐れていたし、今も同じだ。
 自分が理解を出来ない事を恥じるよりも、他者に再び説明をさせる事を怖がっていた。面倒を掛けるから申し訳が無い、のでは無くて、面倒を掛けるので余計に嫌われる、と思ったのだ。
 やはり私は自閉傾向があるのだろう。


4


 さて、入院に際して主治医から説明を受けたのだけれども、今回は「自律神経失調症」との事だった。そもそも私が患い続けている精神の崩れは、この症状が大元にあった為、彼は大変に危惧したのだと思う。個人的な見解だけれども、只でさえ私の主治医は大変に心配を掛ける人物だ。その彼が自殺寸前状態から退院、就労訓練、就職活動と変遷している娘の様な年齢の女子を放置する筈は無いだろう。これは主治医の人間性を見ている私が断言する。
 自閉と言いつつも、私は主治医を信じているのだ。
 処方される薬剤について書くと、これまで服用していた内容が倍量になるとの説明を受けた。折角に入院加療を行うのだから、休息を確保せよ、との意見らしい。とは言え、私はエビリファイユーロジンしか服用していないのだけれども。
 自分はこれからどう変わるのだろう。つまらなさが暴走する日々を潰す事が出来るのか、それとも潰されるのか。
 未来は誰にも分からない。


小話

 

 病棟のデイルームに、うすた京介著『ピューと吹く!ジャガー』が最後の数巻のみ揃えてあった。思わず最終巻の最終話の最終オチを読んだけれども、同時に大学時代、友人がこの漫画に大変な熱狂を示していた記憶が蘇り、フラッシュバックが起きそうで怖くなる。
 私は大学の同級生、もしかすると大学の卒業生の中で、最悪の人生を辿っている内の一人では無いかと思う。