SPARKILLING

作家志望の発達障害/統合失調症者が展開する文章世界!

第六談 友人「もっと足掻けよ」ー(1)可変と不変

ー直近になって、自分は変わったとあなたは発言しましたね。
 はい。
ーその理由は、自分で分かりますか。
 他者の存在の影響ですね。人が信じられないとは、自分で最初に言いましたが。
ー他者とは、誰ですか。
 友人だったり、自分を見守って下さる人だったり。
ー人が信じられないのに、誰かと親しく出来るものなのですか。
 難しい作業ですよね。でも、ある友人が、よく私へ色々な名言を残してくれます。彼は歳下なので、その子、と呼ぶべきですが、私の心を氷に例えていました。

 
ー氷。
 「柚希さんの心を自分では溶かす事が出来ない。けれども、一部を砕く位なら可能だ」
ーその子は、自分の実現可能な範囲を分かっているのでしょうね。
 はい。勉強は得意で無かった様ですが、実生活や、人生上では強い子だと見ています。
ーあなたはそれとは反対のタイプですよね。
 そうですね。勉強は出来ても、生きるとなったら、途端に弱くなる。これは個人の資質よりも、成育歴に違いがあると私は考えます。
ーどう、説明が出来ますか。
 個々は確かに、ストレス耐性とか、問題の処理能力が違っています。これは資質の問題です。けれども、努力次第で後から身に付ける事も出来ます。
ーあなたは現在、就職活動に当たり、それを実践していますからね。
 しかし、成育歴は通り過ぎてしまうと、改変が効きません。何しろ、「成育の歴史」ですから。歴史は不変である。これは真理です。
ーつまり、変えられないからこそ、違っても仕方が無くなる、と。
 はい。ある程度に成長した人間は、それぞれ成育歴と言う基礎を持っています。私も持っている生き難さは、その基礎の問題だと言いたいのです。
ー今迄の話を聞いていると、あなたは成育が良いとは受けませんでした。
 更に、自分が直面している現実として、本当に生き難い。今、就活は十社近く不採用が続いています。選考すら、一回も進んだ経験が無いです。私は本当にその仕事を志願して、応募するのに。
ー先程の子は、仕事と言う面では強いのですか。
 強いです。私を上から見ていますし、何しろ、正社員雇用されていますから。更に、彼は健常者です。
ーそれに対して、あなたは劣等感を覚えたりしませんか。
 します。けれども、自分は人間としての基礎が成っていないので、摂理としては正しいです。
ー人間としての基礎、とは具体的に何だと考えますか。
 それこそ、私に欠けているものでしょう。自分に欠けている何かは、自分では完全に出来ないからこそ、欠けている。だから人間の基礎が成っていない人は、一生の間、それを抱えながらも、隠したり、ごまかしたり、埋めたりする努力を強いられます。その人が前向きに生きたいと願うのであれば。
ーあなたはそう言った努力をしていますか。
 はい。昔は隠す努力ばかりでしたが、今はごまかしと埋める努力に二分されます。
ーこれらについては、具体的に説明が出来ますか。
 ごまかしについては、負の感情を緩和する為に行います。トラウマやフラッシュバックをどう自己解決するかと考えた時に、自分に対してごまかせば楽になる、と分かりました。
ー埋める努力については、どうしていますか。
 こちらは凹んだ基礎を、後天的資質によって補っています。例示するならば、高校中退生の自分が、大学へと進んだ事。ここで言う後天的資質は、成績ですね。
ー凹みを埋めるには、何かを新しく持ち出す必要があります。
 はい。私は勉強と言う努力で、成績と言う存在を持ち出せました。
ーでは、友達の子は、そう言った努力をしなくて良いのでしょうか。
 それは違うと思います。私までには過剰な努力を強いられないでしょうけれども、やはり皆、何処かは不完全ですから。この子も接していると、辛そうとか、苦しんでいるとか、伝わって来ますよ。
ーあなたは、その辛い、苦しいこそが、過剰なのでしょうね。
 過剰なので、破綻に向かってしまう。周りの人はそれを分かっているから、私が愛情を感じなくても、近くに居てくれるのでしょうね。