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作家志望の発達障害/統合失調症者が展開する文章世界!

第四談 精神科医「こう言っては何だけれども」ー(4)迷信、んで、願望も忘却

ー大学病院での入院時に、デイケア作業療法はありましたか。
 ありました。けれども、自分は殆ど参加をせず。
ー何故でしょうか。
 大検に向けた勉強に取り掛かっていたからです。
ー入院しながら、勉強していたのですか。
 病院側には止められました。「具合が悪くなった根本を考えなさい」と。けれども私は、精神病で無為なまま、一生を終える方が納得を出来なかった。

 
ー現実的な問題として、勉強は可能でしたか。
 国語の現代文分野の他は、全滅。でもここに来て、伝習館が役に立ちました。大検を受けるに当たり、在籍時に取っていた単位が使えたのですよ。
ー試験科目の免除ですね。
 はい。ですから、自分が大検に向けて勉強するのは五科目で済みました。国語、英語、地理、政経、家庭科。
ー理系科目がありませんね。
 思考体系が滅茶苦茶になっていた自分にとっては、九死に一生を得られましたよ。高校で理系のコースに居たので、ある程度は理系科目の単位が取られていたらしいです。だから今となっては、理科と言われても、連想するのはメンタルヘルスの事ばかり。
ー残っているのは暗記科目ばかりですが、どう対応しましたか。
 頭に詰め込むしかありません。逆に、詰め込んでしまえば大丈夫だ、と自分に言い聞かせました。病棟の空き部屋を一日に数時間だけ借りて、勉強。物置みたいな部屋でしたが、配慮が本当に有り難かったです。
ー当初、病院は反対していたのに、協力的へと変わったのですね。
 はい。主治医に大学進学を諦められない、と訴えていたからかも知れません。このまま中卒で自分は生きて行ける程に、強くないと。
ー一日中、勉強に励んでいたのですか。
 流石に、入院患者がそこまでのエネルギーを持てません。他の時間は、音楽を聴いていました。
ーシロップ16グラムの話が前に出ていましたね。
 それは辛くて、この時は聴けなかったです。RAILWALKERS、日記、家捜し、家族、憎悪、と連想してしまうので。
ーでは、何を好んで聴いていましたか。
 GRAPEVINEと言うバンドの曲です。歌詞は文学的なものが多くて、勉強になりました。表現やテーマも耽美的な印象でしたし。
ーどの曲が一番に好きでしたか。
 これは耽美、とは違うのですが。「(All the young)Yellow」でした。
ーどう言う内容なのでしょう。
 音はギターロック。歌詞は一見すると意味不明。グレイプバインでは珍しい部類です。歌詞から抜粋すると、「Superstition んで I wish も forgotten」。言われても、何の事か分からないですよね。
ー分かりません。
 Superstition とは「迷信」、I wish とは「自分の望み」、forgotten とは forget 「忘れる」の過去分詞。つまり、「自分の望みも迷信に埋もれて忘れ去られる」と言った意味だと私は思いました。
ータイトルについては、どう解釈しますか。
 「(All the young)Yellow」ですよね。最初は「黄色人種全員に告ぐ」みたいな意味か、と。でも、括弧が付いているのを加味すると、全員から更にフォーカスした、個々にも語り掛けたいのかな、と考えました。ボーカル兼、作詞者の田中和将さんは天才ですね。受け手が幾つもの意味に受け取られる様に、言葉を攪乱させるのがとても上手い。