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作家志望の発達障害/統合失調症者が展開する文章世界!

第四談 精神科医「こう言っては何だけれども」ー(2)天才、チェインソウ、劣性

ー大学病院ですが、ここへの入院は自己決定に因った行動だったのですか。
 いいえ。またも親の決定です。後は、医師の判断。
ー詳しく話せますか。
 その年の四月初旬、母親が黙って私を車に乗せ、大学病院へと連れて行きました。精神科も含まれますが、ここは紹介状が無いと受診が出来ないシステム。それをどうやって可能にしたのやら。
ーでは、母親は精神科へと直行させたのですね。
 はい。そこでの初診で、私は廃人同然でした。電気拷問が全く効果を示さなかった証拠です。「もうこのまま死にたい」「誰か殺してくれ」と、下を向きながら呟いていた記憶があります。

 
ー医師はあなたの姿を、どう捉えたのでしょう。
 これも障害年金の申請書に記載がありました。「希死念慮が認められ、自殺行動が強く懸念された」そうです。
ーそれで、入院の運びとなったのですね。
 初診の翌日に、母親が「今日も診察に行こう」と言い、またも車で大学病院に私を連れて行きました。すると、もう入院の準備が完了していた。日用品まで揃えられた用意周到さ。
ー病床は、それ程に直ぐ空くものなのでしょうか。
 他の病院は、順番待ちの患者さんが居るのが普通、らしいですが。大学病院も当然にそうだったと思います。
ー優先措置を取られたのかも知れませんね。
 確かに、あの状態の人間を放っておいたら、確実に死なれるでしょう。納得が出来ますよ。既出の話ですが、裏では電気拷問も、また提案されていたそうですし。効かなかったのにも拘らず。
ーあなたにとって、入院はいきなりの事だったのでしょう。
 はい。驚きました。せめて親には一言、断りを入れて欲しかったです。
ー母親はただ、病院に連れて行って、入院させて、帰ったのですか。
 そうです。これは酷い。父親は何もしなかった。当方は突然の展開を理解が出来ずに居る。本当に、両親はここでも自分本位です。
ー彼等には、それ以外に方法が無かったのではありませんか。
 本人達はそう主張しますが。これについて、一切たりとて反省や謝罪をされていない矛盾があります。しかも、話が少し逸れますが、両親は私の部屋を隠れて漁っていたのですよ。家捜しです。
ー何か目的があったのでしょうか。
 それは不明です。本人達も、行動は認めましたが、目的は明言しません。
ー家捜しされた結果は、どうなりましたか。
 私の書いていた日記を読まれて、捨てられました。南条あやさんの本と一緒に。その理由は「内容が似ているから」。南条さんと私の人間性を踏みにじっています。他にも色々と見られたのでは無いでしょうかね。
ー何故、似ているだけで処分されたのでしょう。
 もうこの頃は、親も自棄と言うか、正常から逸脱していたと私は感じます。少しでも気に障る事があれば、感情的に行動された。南条さんの書いていた内容は、確かにリアルで過激でしたし。私の日記も同様の理由で、それなりに人気があったのですよ。
ーあなたの日記に読者が居たのですか。
 不登校時期に、日記をインターネットで公開していました。当時はまだ、ネットが普及し始めた頃だったのに、公開して一か月で三千アクセスを記録しました。その頃から、ヤマトユキと言う名前が自分の他自我です。
ー発表はホームページ形式ですよね、当時ならば。
 はい。それにはRAILWALKERSと言う名を付けました。造語です。人生と言うレールを歩く人々、でレールウォーカーズ。でも、私はレールウォーカー本人では無く、それを見つめる存在のつもりでした。
ー何故でしょうか。
 人生の軌道を外れそうだったからです。でも、ホームページには、そう言った人が多く訪れて下さいました。
ー私も気持ちが分かります、と言った感じでしょうか。
 そうですね。流れで出来た友達から、syrup16gと言うバンドを教えて貰った事も大きい。
ーシロップ16グラム、鬱ロックの代表格ですね。
 あれは一概に鬱、とは言えませんよ。社会の汚さとか、人間の歪さを正面から捉えて、たまに爆発的な希望へと変換する。
ーどう言った部分で、そう感じますか。
 例えば、「天才」と言う曲。あれは優等生が下落した末、自棄を起こしてチェインソウを振り回す。そう言った解釈が出来る歌詞とメロディです。
ーあなたにも合致しそうですね。
 自分に重ね合わせて聴きましたし、今でも聴いています。他には「I’m劣性」も良いですね。個人的に、「天才」で描かれた主人公がアルバイトへと身を移して、更に自棄を起こす姿へ捉えられます。
ー優等生から、アルバイト。
 アルバイトが悪いとは全く思いませんが。ただ、天才からチェインソウを振り回す位に狂った本人にとって、自分が劣っていると認めるのは相当きつかったでしょうね。後に、syrup16gのライブに私は行きましたが、そこは同じ雰囲気の観客で溢れていましたよ。それは一種の癒しです。