SPARKILLING

作家志望の発達障害/統合失調症者が展開する文章世界!

第三談 私「何故自分は言葉が話せるの」ー(3)扉の下半分が消えた手洗い

ー話は変わりますが、電気治療の肯定的な効果はありましたか。
 いいえ、全く。寝台からの拘束が解けると、脚が弱って歩けなくなっていました。更に、高校中退の話も本決まり。災厄しか来ていない。
ー歩けなくなっていた状態は、リハビリで対応したのですか。
 はい。看護師に両腕を支えられて、閉鎖病棟の廊下を歩きました。他の入院患者さんも、流石にこの姿へは引いていた。
ー驚いたのでしょうし、同情もしたのでしょうね。
 精神科の入院病棟内でそうされるのは、重症ですね。皆さんも自分の苦しみで精一杯の筈なのに。

 ーものは食べられましたか。
 初めは栄養点滴。次は病院食をミキサーで潰して混ぜたものを、看護師から無理にスプーンで食べさせられました。あれに勝る不味い食物は無い。と言うより、食物ですら無かった。
ー入浴や排泄はどうしましたか。
 看護師の補助が付いて、やっと出来ました。排泄については、一人で歩いて手洗いに行ける段階でも、個室の扉の下半分が無い状態で用を足さなければならなかった。
ー扉の下半分が無い、とは。
 要するに、どの個室に患者が入っているのかを確認する為に、扉が一部だけ取り払われていたのですよ。本当にあの病院はおかしい。精神科患者を人間として見ていない節があり過ぎる。精神科病院の名目なのに。
ーそう言えば、繋がりがあったと言う、メンタルクリニックの女医さんはどうしたのでしょう。
 実はこの人、松岡病院に出現しました。何も無かった様な顔で平然と私を見て、言った台詞がこう。「あなたは音楽が好きだったのに、ちっとも聴いていないわね」。とてもそう言う余裕の無い当方からすると、もうこの人は医者と認められない。
ー焦点がずれていると言うか、的が外れていますね。
 あくまで個人的な見解ですが、一族の傾向とか、成績とかで医者になったタイプではありませんか。そう考えると、可哀想な人です。
ー同情的にも可哀想ですし、人間としても残念で可哀想ですね。
 まあ、もうこの人の事は知りません。一応、障害年金の受給に必要な書類を書いてくれましたから。初診証明書です。だから、もう縁は切れました。
ー証明書には何が記されていたのでしょう。
 主には私がメンタルクリニックに通っていた頃の様子だったので、詳細は省きます。しかし、最後は「同年四月に弟の入学式があり、不安定になって久留米大学病院に転医」と投げ遣りな書き方で終わっていました。