SPARKILLING

作家志望の発達障害/統合失調症者が展開する文章世界!

第二談 病院「御両親と私共の判断に因りました」ートラウマの上と下を行く

ー比較対象にならない位にあなたは酷いのですか、殺人を犯した少年よりも。
 それは、彼の置かれた立場がよく分かるからですね。精神科へ強制入院させられると言う行動で、自己を否定されてしまった。更に、周りはそれを無視していた。罪を犯すエネルギーが少年に湧き出て当然です。それでも、私のトラウマに比べたら甘過ぎでしょう。
ーあなたのトラウマは、どう言うものですか。
 私は高校へ、二年生の初めから徐々に行けなくなりました。当然ながらも出席日数が足りなくなり、留年措置が待っています。通知を受け、追い詰められて大量服薬で死のうとしました。
ー自殺未遂ですか。

 はい。その時、通っていたメンタルクリニックの医者の一族が経営している精神科病院に搬送されました。そこで電気痙攣療法、と言う名の拷問を受けたのですよ。あれの正しい呼称は、体験者からすると、電気痙攣拷問措置、に変えて欲しい。
ーそれを、あなたは自ら望んで受けたのですか。
 違います。その精神科病院、これも実名を出しますけれども、福岡県久留米市にある松岡病院とうちの両親が勝手に決めて、施行しました。
ー人間に電気を流す措置を、ですか。
 はい。全く持って勝手を過ぎています。先方は「あなたの命を救う為」とか言って、さも正当化しようと努力しますけれども。当方からすると、それが本格的な生き地獄の始まりでした。救うとか、そう言った次元の問題では無いのですよ。
ー勝手と言うか、有り得て良い事でしょうか。
 何しろ、本人不在で決めていますからね。人権無視です。当然に私は許す気がありません。松岡病院と両親の、神経と常識を疑う。
ーそれがトラウマですか。
 それも、トラウマですね。更に、電気を流された時の感覚が、激烈だった。鞭で何回も力の限りに頭を殴られた感じ、です。その時、私は意識が無かったのですけれども、訳の分からないまま絶叫した感覚は強く残っています。何が何だか、理解出来なかった。
ー確かに、拷問と同じ体験でしょうね。
 肉体的にも、精神的にも、こうなると殺人と同等ですよ。今でもこの時に殺してくれたら良かったのに、と思います。
ーしかし、電気を流す事は、命を救うのか疑問です。
 私もそれが疑問です。何の療法も薬剤も効果が無い時、更に患者の自殺行動が強く懸念される時だけ行われる方法らしいですよ。しかも、医学的根拠が無いと言う。当時の私はその条件に合致していたかと問われると、違うと思います。
ー実際のあなたの状況は、どうだったのでしょう。
 大量服薬とは言っても、記録に因ると、処方された数日分の薬しか飲んでいないとの事でした。しかも精神科に通って、まだ一年しか経っていなかった上に、受けていた療法は、と言うと。
ーあなたは考えが堂々巡りしているだけ、と言う断定。
 そうです。個人の意見ですが、病院側は、一族が診ている患者が自殺した、と言う事実を作りたく無かったのでは、と。そして、私の親はそれに丸め込まれてしまった。金銭は持っていても、自分の意思は持たない人達ですから。
ー責任逃れをされた、と言う思いをあなたは持っているのですね。
 はい。そうで無いと、電気拷問をどうして執られたのか、理解に苦しみます。
ー大量服薬行動は、他に何かを生みましたか。
 飲んだ薬を吐き出させる目的で、私は胃洗浄を行われました。胃へ無理に液体を入れて、人為的に嘔吐させるものです。それが失敗したらしく、肺に液体が入って、潰れ掛けた。
ー肺が駄目になりそうな上に、電気を流されたのですか。
 そうです。松岡病院で目が覚めたら、酸素マスクが顔に当てられ、体は寝台に拘束されていました。自分で用を足す事すら、不可能の状態。
ー酸素マスクは、肺の機能を助ける為ですよね。
 そうでしょう。呼吸を保つ目的。何か話すだけで、苦しくて息が出来なくなる。
ー拘束は、何の為に行われていたのでしょう。
 逃亡か、自殺を企てられるのを考えたのでは無いでしょうか。どちらにしても、精神科の閉鎖病棟に入れられて、厳重管理を受けている当方には出来ない事です。この点からも、自殺の責任逃れの可能性を説明が出来ます。
ー人間が、人間を人間として扱っていませんね。
 精神医療に於ける最悪の展開ですよね。最近、知った話に因ると、電気拷問は禁忌とされているらしいですし。
ーそして、十七歳の女子が、一人でそれを背負ってしまった。
 はい。よく耐えられたな、と自分で思います。けれども、それは違う。
ーどう言う事でしょうか。
 耐える以外に選択肢がありませんでした。死ぬにしても、身動きが取られなかったので、自然にそうなるのを期待するしか無い。
ー病院と御両親は、自分達の取った行動をどう説明しましたか。
 先ず、病院ですが。電気拷問の具体的な内容を言おうとしませんでした。「肺が潰れそうで、高齢者や幼児だったら死んでいた」とは言っていましたが。全員では無いと思いますけれども、あそこの医師は非情でしたね。看護師も同じく。
ー御両親はどうでしたか。
 面会謝絶、と言われていたのかも知れませんが、私が目を覚ましてから数日後に会いました。そこで呼吸も話も出来ない私に、父親がいきなりこう叫んだ。「お前は何をしたんだ」。