SPARKILLING

作家志望の発達障害/統合失調症者が展開する文章世界!

第一談 同級生「消えればいいのに」―(4)南条あやとバスジャック犯

ー話は変わりますが、ある日から突然、高校へ行くのをあなたは止めたのですか。
 いいえ。不登校状態へ転落する王道を辿りました。保健室登校から始まって、学校が嫌になり、行かなくなって、遂には行けなくなった。
ーしかも、当時は既に御両親や弟さんと仲が悪かったのですよね。
 そうです。だから私に話し相手が居るとすれば、インターネットを介した仲間だけ。精神関連のサイトで鬱憤を晴らす毎日を送りました。そこで見つけた、南条あやさんと言うネットアイドルが、今も私の師ですね。
南条あや
 私と同じく精神科に通い、大量服薬して自殺した女子高校生です。あの人の存在は今でも大きい。 
ーあなたと重なっていたのでしょうか。
 そうです。置かれた状況が似ていましたから。彼女は『卒業式まで死にません』と言う本を出していますが、私は都合三回、それを購入しました。

ー何故、三回も。
 親が二回、それを取り上げたからです。けれどもインターネット上には、誰でも閲覧出来る状態でその本文が掲載されています。それにも拘らず、本まで出ているのを考えると、どれだけ彼女が支持されているか分かります。うちの親は本当に愚かです。色々を、全く分かっていない。
ーあなたに彼女の影響を受けて欲しくなかったから、ではありませんか。
 本人達はそう言いますけれども。人間は自殺と言う選択肢も持っていないと、逆に気が狂うと私は思います。
ー極論では。
 一般論です。逃げ場は心の支えになります。それが自殺に置き換わっただけです。だから私は自殺とか、安楽死を否定しません。
ー親御さんは実際の所、何を思っていたのでしょうね。
 自殺と言う結果よりも、リストカットについて懸念されていた感じはありました。南条さんもリストカットが酷かった、と本に書いてありましたし。
ーあなたもリストカットに頼っていた事実がありますよね。
 はい。リストカット、今更ですが、カッターや剃刀で手首を切るものですね。手首自傷
ー当時、あなたは何を思って、それを実行していたのですか。
 死にたい半分、怒り半分です。手首を自身や周りに見立てて切りました。
ー他に代替方法は無かったのですか。
 壁に頭をぶつける位ですね。後は物を壊すとか。これは弟も行っていました。とにかく何かしらに、穴が開きまくる。
ーそれは、姉弟で揃って、危険ですね。
 ありふれた事ですよ。私は何人もそう言う人を知っています。ただ、私は家族を包丁で脅しましたが。
ー脅す、と言うのは、自分を殺す事ですか、それとも相手を殺す事ですか。
 後者です。「殺すぞ」と叫んで、家族に向かって包丁を握っていました。
ー警察沙汰になりませんでしたか。
 いいえ。体面を気にするのがうちの基本ですから。関連して、同時期に西鉄バスジャック事件がありましたね。
ー高校生の少年が、バスジャックの上、乗客を殺害したと言う。
 はい。その少年の立たされていた背景を知っていますか。
ーいいえ。
 コレクションとして、彼は刃物を集めていたそうです。しかし親がそれに驚き、無理に彼を精神科に入院させてしまった。大した診察も受けさせずに。それを受け、彼は一時帰宅の際、犯行に及んだとの事です。
ー刃物を集めるのは、普通の人から見ると異常ですが。
 私はそこが問題では無いと思います。あくまでコレクションですから。包丁とかナイフは、その辺りに幾らでも売ってあります。
ーでは、あなたは何処を問題視しますか。
 親と精神科の対応、それと少年の感情です。前者は強硬を過ぎていますし、後者は気持ちがよく分かります。一歩違ったら、私も家族を殺していましたから。追い詰められたら、通じる者には通じるものがあります。
ーあなたと少年は必ずしも同じとは限らないでしょう。
 少なくとも、状況は私と似ています。私の方が余程に酷いですけれども。比較対象とならない位に。